Concrete CMSと生成AIをつなぐMCPサーバーを公開しました

菱川拓郎
菱川拓郎

近年急速に普及が進む生成AIですが、今年は「文章を作るツール」から「タスクをこなしてくれるエージェントへ」の流れが加速した一年だったと言えるでしょう。その流れの中で注目されているのが MCP(Model Context Protocal)です。

この度、弊社は Concrete CMS と接続する MCP サーバー をオープンソースとして公開しました。GitHub にて公開しており、どなたでもダウンロードして試すことが可能です。

https://github.com/MacareuxDigital/concretecms-mcp-server

この MCP サーバーを使用することで、Claude など、お使いの AI から Concrete CMS 内部の情報を取得したり、Concrete CMS のコンテンツの更新を行うことができるようになります。

Claude から Concrete CMS のMCPサーバーを使用する様子の画面キャプチャ

詳しいインストール方法や使い方は GitHub の README をご参照いただくとして、本記事では、MCPとは何か、そして Concrete CMS と組み合わせることでどのような可能性が広がるのかを、簡単にご紹介します。

MCP(Model Context Protocol)とは?

MCP は、AI モデルが外部のシステムやデータと安全かつ構造的にやりとりするための共通プロトコルです。従来は、メーラーやタスク管理ツールなど、既存のビジネスツールや、CMSなどのシステムが、個別に AI 対応を行い、それぞれで AI の機能を追加するのが一般的でした。しかし、この方式だとそれぞれのツールに個別に AI の追加料金を支払うことになりますし、ツールごとに AI へのアクセス方法も異なり、使い勝手が良いとは言えません。なにより、現在 ChatGPT などの生成AIはますます各ユーザーのコンテクストを記憶するようになり、それが利便性を飛躍的に高めていますが、各ツールの付属AIはもちろんあなた自身については何も知りません。

ところが、MCP という AI とツールが連携するための統一規格が出てきたことで、あなたが普段使っている AI を起点として、さまざまな外部のツールを利用することができるようになります。MCP は Claude を開発している Anthropic 社が提案した規格ですが、2025年に入ってOpenAI・Google・Microsoftなど主要プレイヤーが対応を表明/実装し、エコシステムとして採用が加速しています。

Concrete CMS と AI を繋ぐ意味

Concrete CMS は、

  • 柔軟かつ豊富なコンテンツ管理機能を持つ
  • 標準装備の柔軟な権限管理とワークフロー
  • 大企業や大学など、規模の大きなサイトでの利用が多い

という特徴を持つCMSです。そこに MCP を組み合わせることで、CMS の豊富なコンテンツ管理機能を活かしつつ、AI の力でコンテンツ編集者を助けることが可能になります。

具体的にできるようになること(例)

1. コンテンツを会話で作成できる

  • このページのタイトルを考えて
  • このページを初心者向けに書き直して
  • 過去の記事とトーンを揃えて修正して

といった指示を AI に与えると、AI が代わりに Concrete CMS のコンテンツを更新してくれます。もちろん、既存の権限設定や承認ワークフローを通すことができます。

2. ガイドラインに沿ったコンテンツのクオリティ管理

  • コンテンツ品質ガイドラインに沿って記事をレビューして
  • アクセシビリティガイドラインに沿ってページをレビューして

のように、事前に AI に与えた指示に従ったコンテンツレビューを自動化し、わかりやすいレポートを出させることができます。

3. CMS が「知識ベース」になる

Concrete CMS に蓄積されたコンテンツ、サイト構造、更新履歴などを AI が分析することで、既存コンテンツから新しいコンテンツを生み出したり、改善の提案をしたりする、「考える CMS」へ進化させることができます。

なぜオープンソースで公開したのか

MCPはまだ新しい概念であり、
「実際の業務システムとどうつなぐのか」は多くの人が模索している段階です。

今回あえてオープンソースで公開したのは、

  • Concrete CMS × AI の実装例を共有したい
  • MCPの実践的な使い方を広げたい
  • コミュニティと一緒に育てていきたい

という思いからです。

これからの展望

現在の MCP サーバーはまだアルファ版であり、ローカルでの実行(stdioプロトコル)にしか対応していません。また、この MCP サーバーは Concrete CMS の REST API のラッパーですが、生成 AI からの利用という観点で考えると、Concrete CMS の REST API に追加すべき機能もさまざまなアイディアが湧いてきます。

今後は幅広い生成 AI ツールから利用できるようにするための改善と、REST API の機能追加を並行して進めつつ、実際のクライアントのプロジェクトでの運用事例からのフィードバックも行っていきたいと考えています。

生成 AI は、既存の CMS に代わるもの、CMS の必要性を無くすものではなく、CMS の価値をより高めるものだと確信しています。マカルーデジタルでは、コンテンツ管理や Web 運用の未来を拓くための取り組みを、今後も続けていきたいと考えています。

 

↓ MCP サーバー経由でブログ記事のレビューと修正を行うデモ動画