セイコーブランドで知られる腕時計などのマイクロメカ、電子デバイス、計測機器などの製造を手がけるセイコーインスツル様。社内ポータルサイトのシステムの移行先としてconcrete5をご提案しました。インフラ設計からconcrete5の導入作業、コンテンツ移行から運用後までの技術サポートなどでご支援させていただきました。
オープンソースCMS"concrete5"の利点を
フル活用。
社員7000人分のライセンス費用を軽減。
目的と課題
社員数が7000人。パッケージ製品を採用する際のライセンス費用が高額になっていた。
ブラウザから更新可能なCMSを導入したい。
情報へのアクセス権限、更新権限のきめ細やかなコントロールを可能にしたい。
ユーザーエクスペリエンスを向上させるためのデザインの自由性も重視したい。
ご提案内容
concrete5 をイントラサイト向けにカスタマイズしたパッケージをご提案。オープンソースをベースにしているため、ライセンス費用が低額に。
セイコーインスツル様で採用されているシングルサインオン(SSO)製品に対応するカスタマイズを実施。
ユーザーアカウントとその所属部署の情報を基盤システムと連携を実施。
達成成果
オープンソースのconcrete5を採用いただいたことで、ライセンス費用などの初期費用を抑えてAWS上に新システムを構築できました。
デザイン性にもこだわり見やすいサイトにしたことで閲覧数も増加。使いやすい編集機能でシステム移行もスムーズに実現できました。
情報システム部 伊藤 公二様
伊藤)もともと20年近くIBMのNotesを使用しており、検討当時は閲覧者が約7000人、投稿可能な人が約200人程いました。掲示板や個別の業務アプリケーションなど、多様なアプリケーションを使用していました。
しかし、使用しているバージョンのサポート切れを機に、機能ごとに切り分けて別のサービスに移行することに決定し、その中で社内ポータル掲示板の移行先としてconcrete5を選定しました。
伊藤)もちろん検討しました。Notesの機能をすべてひとつのサービスに置き換えるパターン、そして、Notesをバージョンアップして継続的に使うパターン。そして、結局採用になった機能ごとに最適なサービスを活用するというパターンの3つのパターンを最初に検討しました。既存環境活用の可否やコスト面など、様々な面から検討を重ねました。
▼セイコーインスツル様 社内ポータルTOPイメージ
伊藤)1つめがアクセス権限を分けられること。2つめがユーザーの一括登録ができること。3つめがブラウザ上で投稿を完結できること。4つめが閲覧と投稿の権限を役職や部署ごとに細かく設定できること。最後の5つめはシングルサインオンのカスタムができること。大きくはこの5つの要件を出しました。
あと、掲示板は視認性や閲覧性などに配慮する必要がありましたので、デザイン部のメンバーに参画してもらいました。
伊藤)当時はデザイン部がWordPressをよく使用していたのでWordPress、あとはSharePointも候補でした。
特にWordPressは要件的に最低限は押さえられているのと、コストパフォーマンスが抜群に良くて有力でした。ただ、ユーザーの細かい権限設定が弱くて見送りました。
伊藤)concrete5はデザイン部のスタッフが提案してくれたんです。決め手は、閲覧や投稿の権限をかなり細かく設定できる点とコストですね。法人向けパッケージはライセンス販売がほとんどで、当社のように7000ライセンスにもなると、結構な金額になってしまう。
concrete5はライセンス販売ではないので、導入時の初期費用が抑えられるのは大きな決め手になりました。
▼concrete5の権限設定画面の例
伊藤)オープンソースであることのメリットやデメリット、なぜあまり聞いたことがないconcrete5を選ぶのか、については確認されましたね。他社の導入事例を出したり、サポートの手厚さやスピード感を説明して理解していただきました。
中でも一番強力だったのは、他社での導入状況。大手企業でも数多く導入されているconcrete5だけに、導入企業を見せればすぐに納得してもらえました。
あとは、コンクリートファイブジャパンがもし、なくなってしまっても、オープンソースなのでサポートしてくれる会社が数多くあることも説明しました。でも、コンクリートファイブジャパンは第一人者なので、今はここに頼むのが正解だ、と。
総合デザイン部 林 萌緑様
林)閲覧者、特に若手社員からは、移行前は見にくかったが、移行後は見たい情報への道筋がわかりやすくなり、1日の閲覧回数も増えたという声をたくさん聞きました。
古賀)編集者はNotesを変更することに一番反発が強かった層です。それでも約2〜3カ月程度でなんとなく良い感じで使いこなせるようになったのには驚きました。これまではエクセルシートを画像化してベタ貼りしていた人が、テーブルレイアウトや背景の着色などの手法を利用し、見てもらうことを意識して発信するようになりました。concrete5の記事作成画面がわかりやすいのだと思います。あとはconcrete5のサイト内検索がとても速いので、必要な情報を見つけやすくなっています。
林)やはり1ページの中でブロックごとに閲覧権限を設定できること、部署や役職ごとに閲覧権限を設定できるのはとても便利ですね。ページの上部は全員が閲覧できて、下部は人事部だけ閲覧可能といった設定ができる。これにより、従来は2つの投稿をしないといけないのがひとつの投稿で済みます。マニュアルも部署ごとや役職ごとに異なるものを作成し、該当するものだけが表示されるように設定しています。
伊藤)Notesのバージョンアップをせずにconcrete5など複数の代替サービスにしたことで、数千万円のイニシャルコスト削減につながっていると思います。年間のランニングコストでも数百万円以上の差が出ていますね。
総合デザイン部 古賀 愛子様
古賀)何を聞いてもレスポンスが早くて、しかも優しく回答してくれるんです。1カ月ほどで「この人たちは怖くない」って理解しました(笑)。他の業者さんだと「範囲外なので」と断られてしまう部分もアドバイスをもらえたり。あとは「とにかく何でも一度聞いてください」というオープンな姿勢が本当にありがたかったです。
林)開発中は、ずっと1週間に1回は顔を合わせて進捗確認の時間を設けてくださった。本当に手厚いという言葉が最適でしたね。
伊藤)サポートは抜群にいいですよ。私たちとエンジニアの距離が近く、対応が迅速かつやりとりも正確。結果としてどこよりも手厚いサポートをしていただけています。
伊藤)楽ですね。社内のオンプレ環境下に設置することも可能ですが、それだと他の基幹システムの影響を受けたりします。AWSは十分安定していますし、何かあった時の対応も迅速ですね。加えてコンクリートファイブジャパンの上野さんが、AWSのソリューションアーキテクトのアソシエイト認定を取得されているのも安心です(補足:法人としてもAPNテクノロジーパートナーに加入しており、社内エンジニアのAWS資格取得を支援しています)。
古賀)台風の時は凄かったですね。ある日の夕方に、翌日は台風の影響で午前は休日とする旨の通達を人事部が行いました。するとアクセスが一気に集中して(笑)
林)私たち自身も思わずアクセスして確認しようとしたぐらいですから。503表示が出て。
伊藤)みんな繋がらないとずっとF5で再アクセスを試みるんですよ。それでさらに負荷が高まって(笑)。でもAWSならスケールアップするのに、再起動含めてダウンタイムが20分程度で済みました。かなり早いと感じましたね。
伊藤)やはりWindowsの統合認証でしょうか。Windowsにログインした時点で、自動的にconcrete5にもログインできるものですね。弊社も導入したかったのですが、実績がなかったので見送りました。今後、導入に向けて検討を進めていきたいですね。